『ツナグ』は作者辻村深月のベストセラー小説を映画化したファンタジードラマ。2012年10月6日に公開されたこの映画、監督は平川雄一朗、映画観客動員ランキング第1位を獲得した話題作です。
死者と生きている者との再会の仲介をする使者(ツナグ)を代々受け継いでいる一家。その家で暮らす男子高校生が祖母からその役目を受け継ぐために見習いをします。
さまざまな依頼内容に真摯に寄り添う青年が、会った後の依頼者の姿に感動したり、またある時は悩んだりして、「ツナグ」としてのやりがいを見出していく姿を松坂桃李が好演しています。また、樹木希林の味のある演技は、本当にそんなパワーがあるかのような雰囲気を醸し出していたり、八千草薫が息子に語りかけるセリフの数々は本当に心にしみます。その他のキャストも実力派ばかり、とても見応えのある作品です。
「あなたがもう一度、会いたい人は誰ですか?」という問い掛けにジーンとくることでしょう。
『ツナグ』映画はどのようなストーリーなの?
『ツナグ』キャストのご紹介
○主人公と親族
渋谷歩美(あゆみ)―松坂桃李
この作品の主人公の高校生。”ツナグ“の仕事を祖母のアイ子から受け継ぐために、まずは使者見習いから始め経験を積んでいく。
アイ子―樹木希林
現役の使者。入院を機に、歩美に使者の仕事を譲りたい思いが強くなる。
アイ子は使者の務めを兄の定之から受け継いでいた。
秋山定之(さだゆき)―仲代達矢
歩美の大伯父(アイ子の兄)で秋山家の当主。アイ子の前に使者を務めていたが、アイ子が嫁に行くときに力を譲った。
渋谷亮(りょう)―別所哲也
歩美の父。故人。フリーのインテリアデザイナーをしていた。歩美が6歳の時、妻の香澄と一緒に、死んでいた。
渋谷香澄(かすみ)―本上まなみ
歩美の母。故人。亮の父(アイ子の夫、歩美の祖父)に結婚を反対されたため、亮とは駆け落ち同然で結ばれた。
歩美の祖父(写真)
アイ子の夫で亮の父。故人。駆け落ち同然で疎遠な時期もあったが、本当はあゆみのことを誇らしく思っていた。
○依頼者と関係者
畠田靖彦(はただ やすひこ)―遠藤憲一
地方の工務店の社長。使者については半信半疑だったが、山を売るための権利書のありかが分からないためという理由で、亡くなった母ツルに会いたいと願う
畠田ツル ―(八千草薫)
靖彦の母。2年前に癌で亡くなる
畠田太一
靖彦の息子。地元の私立大学で。おとなしい性格
嵐美砂(あらし みさ)―橋本愛
歩美と同じ高校に通う高校生でクラスメート。美人なので男子の間で人気が高いが、とにかく負けず嫌いで、勝気な性格。演劇部に所属。
御園奈津とは親友のはずだったが・・
御園奈津(みその なつ)大野いと
美砂の親友であり、歩美と同じ高校で演劇部に所属。2ヶ月前、自転車ごと坂道を転げ落ちたために、交通事故で亡くなった
奈津の母―浅田美代子
夫と共に蕎麦屋を経営している。奈津が死んだ時の「嵐、どうして」という言葉の意味を美佐に尋ねたが・・・
浅倉
演劇部の先輩。
土谷功一ー佐藤隆太
都内の映像関連機器会社に勤める30代のサラリーマン。、7年前に突然失踪した婚約者、日向キラリに会いたいと依頼。
日向キラリ(ひむかい きらり)―桐谷美玲
功一の婚約者だったが、7年前に友だちと旅行に行くといって失踪。日向キラリは偽名で、本名は鍬本輝子(くわもと てるこ)。
『ツナグ』映画のおおまかなあらすじと感想
渋谷歩美は創永高校に通う、普通の高校生。
あゆみの両親はあゆみが6歳の頃になくなり、祖母と暮らしていた。
祖母は自分が現役で持つ代々受け継がれているパワーをあゆみに受け継いで欲しいと願い、あゆみもそれに答えようと見習いをするようになる。
そのパワーは、たった一人と一度だけ、死者との再会を叶えてくれる「ツナグ」という使者のことだった。
死者に会いたいという依頼を受け、依頼人が会いたいと希望している死者を呼び出し、交渉する。その死者が会うことを了承すれば、その死者と依頼人を会わせるという流れである。
そして死者との面会にはルールもあった。
ある日、一人目の依頼者、歩美の元へ亡き母との再会を望む中年男性、畠田靖彦が依頼してくる。
畠田は、初対面で歩美を前に横柄な態度で接するのだが、母、ツルからも会いたいと了承を受けることができ、面会が実現する。母が生きている時に聞けなかったこと、病気のことを親族に公表せず、自分だけで判断したこと、長男である息子のことなどを話した。
ツルの「お前は優しい子だ」「太一もいい子だ」と優しい眼差しで諭す母の語りかけには胸が熱くなった。畠田はあった後、歩美に対しても、トゲトゲしさは消えていた。その後、太一とのわだかまりも取れていくシーンは、見えていなくても見守ってくれているように思えた。
二人目の依頼者は、親友を亡くした女子高校生の話です。この親友をなくした女子高生の話も元々仲のよかった親友同士が喧嘩別れしたまま一方がなくなります。友情、嫉妬、裏切り、殺意、謝罪などの感情が入り混じったストーリー。この話のラストは背筋がぞっとしました予想外の展開でした。
次の三人目の依頼者は失踪した恋人を捜す男性が訪ねてくる話です。果たしてこの女性は生きて発見されるのか、否か・・・
このように、それぞれの依頼者の
会いたかった死者に会えた時の思い、亡くなる前のエピソード、いざ対面した時の予想外な反応、会ってその後の気持ちがどうなったかなどが細かく描かれています。
会えた時のシーンは、どうなるのだろう?とめいっぱい想像力を働かせてしまうほどのストーリーでした。
会えた後の印象が「目に見えているものだけが真実じゃない。大切なことは心で見るのだ。そうすれば本当に大切なことが見えてくる。」という意味を感じずにはいられませんでした。